「オール・アバウト・

クレージーキャッツ」

by 萩原健太

2018年4月14日(土)

 毎週日曜の午後6時半から7時まで。思えば、あれがすべてだった。あのめくるめく30分間が、ぼくたちにエンタテインメントのあらゆる魅力を教えてくれた。若い世代にはまったく伝わらない感慨かもしれない。が、今、60代に足を踏み入れたぼくのような世代にとって、世紀が変わろうが、あの30分間は永遠だ。

 1961年から72年まで、日曜午後6時半から日テレ系で放送されていた伝説のテレビ番組『シャボン玉ホリデー』。キュートな双子デュオ、ザ・ピーナッツのタイトルコールから、ロス・インディオス・タバハラスの「スターダスト」が甘く、切なく流れるエンディングまで、どの瞬間もとびきり躍動的だった。特に、ピーナッツと並んでダブル主演的な役割で番組を牽引していたハナ肇とクレージーキャッツの存在。忘れられない。

 歌も、演奏も、踊りも、トークも、お笑いも、何もかもが爆発的だった。日本のエンタテインメントのあらゆる原点がここにあったのではないかとすら思う。怪獣映画を見に行くと必ず併映作品として公開されていた彼らのごきげんな主演映画群も含めて、ハナ肇、植木等、谷啓、犬塚弘、桜井センリ、安田伸、石橋エータローというクレージーキャッツの面々が、あの時代ぼくたちに見せつけてくれていたものは本当に大きい、かけがえのないものだった気がする。

 迷ったときは原点へ。これはよく言われる鉄則だ。だからこそ、何年かおきにビートルズが見直され、バッハの功績が改めて新鮮に語られ、ジョン・フォードの名画が再評価され、ゴッホの色彩が時を超えて人々の心を浮き立たせる。それと同じだ。今、何もかもが混沌としている日本のカルチャー・シーンにあって、ぼくたちは再びハナ肇とクレージーキャッツに立ち返ろう。

 そんな胸躍る夜。やはり『シャボン玉ホリデー』から大切なものをたくさん受け取っていらっしゃったはずの川崎徹さんとともに、全力でクレージーの魅力を再訪します。楽しみです。

 

 

 

萩原健太

1956年、埼玉県生まれ。早川書房を81年に退職後、音楽評論家、DJ、プロデューサーなどとして音楽の周辺で仕事を継続中。最新刊は「アメリカン・グラフィティから始まった」「70年代シティ・ポップ・クロニクル」「50年目の『スマイル』ーぼくはビーチ・ボーイズが大好き」(エレキング・ブックス)。

開催日時

2018年4月14日 土曜日 18時開演(17時半開場)

今回は美術作品の展示はございません。