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朗読会について
寝っころがって読んだり、電車の中で読んだり、お風呂につかって読んだり、
Kindleやスマホで読んだり、読みながらうたた寝してしまったり。
本くらい自由に楽しめるアイテムはないと思うのです。
南青山はコム・デ・ギャルソンの裏手にあるmediatoll。
その、普段は宝石店を営んでいる瀟洒なスペースに、小説家がやってきて自分の作品を朗読する。
川崎徹さんに誘われ、「本の場所」という新しいイベントの手伝いをすることになり、
わたしはまたひとつ新しい本の楽しみ方を手に入れた気持ちになっています。
25人も入ればいっぱいになってしまう小さな場所で、小説家の声に耳を澄ませる。
目をつぶったっていいし、小説家の口元を食い入るように見つめたっていいし、
毎回掛けかわる若冲や瀟白や蕪村や暁斎といった画家の水墨画をぼんやり眺めていたっていい。
思い思いのスタイルで小説家の朗読を楽しむ。
そんな、これまで以上に小説作品を身近に感じられる空間ができたことに、わたしはワクワクしているのです。
豊崎由美
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